4月2013

平成25年度総会=報告

平成25年度総会
平成25年4月20日

菅瀬亮司理事を議長に選出し、議事が進められました。
平成24年度事業報告・収支決算報告および平成25年度事業計画案・収支予算案を審議し、承認されました。
役員改選では、伊藤善允現会長が引き続き会長に選出されました。

平成25年度役員は以下のとおりです。
名誉会長:篠田 昭[新潟市長]
名誉会員 :蒲原 宏[元がんセンター新潟病院副院長]
顧問:中村 義隆[前会長]
相談役:和田 右苗[前副会長]・小熊 英雄[前副会長]・唐津 正夫[元監事] ・小川 千代[前監事]
  
会長:伊藤 善允
副会長:菅瀬 亮司
事務局長:高橋 邦比古
監事:齋藤 義明・笹川 玲子
理事:青木 道・伊藤 雅一・岡村 澄子・毛島 宏・桜井 ミツ・佐藤 千重子・関本 昌隆・山上 卓夫・横木 剛

4月の月例会=報告

4月例会
平成25年4月20日

「新潟奉行所役人の職務と生活」
本会会員・新潟奉行川村修就研究家 中野三義氏

〈講演概要〉
 講師の中野三義氏は、旧新潟郷土資料館勤務時に初代新潟奉行川村修就の御子孫から「川村家文書」が新潟市に寄贈される経緯に大きく関わり、その実現に尽力された。従前から川村修就に関して多方面にわたる論考を発表されてきている。
内容は、組頭・広間役・定役・並役の職階による勤務時間や職務の内容、各掛組織と職務内容、新潟奉行所の年中行事のあらまし、奉行所役人の生活と哀歓であった。
 長岡藩から上知された新潟町に設置された新潟奉行所の機能や歴史的な役割といった内容はあちこちの叙述にもみられるが、奉行所役人の生活の実相という視点での叙述や講演はなかなかない。それが小説ではなく、史料によって裏付けられた内容であるとさらにない。
 今回の講演は「川村文書」の翻刻に従事され、文書の内容を熟知されている氏でなくてはできない内容であった。年中行事に関する資料は、「川村文書」以外にもあり比較的に新潟町との関係など復元はできるが、奉行所役人の職務と生活に関して作成された略年表は苦心の資料である。資料中に川村奉行が部下の統率に悩まされたり、憤慨したり、人間川村修就の一面が伺われ興味深い。
 また奉行所役人の定数と処遇(給金)などの資料は、奉行の年収が1億円を超えると推定されたり、現在の価値への試算を示すなどわかりやすく構成されている。
 さらに奉行所役人の前職と転出先の資料では、その奉行所役人は経済官僚と軍事技術者を主として構成されており、それが幕府が期待した奉行所の機能であると説明された。
 最後に奉行所役人には病気隠居で退任した者が多く、職務の困難性などにも言及された。今日においても、人事は巡り合わせによっては人生の哀歓にもつながる。幕末期における人事の巡り合わせなどが、人生の哀歓を示しているとの締めくくりがあった。
 本講演は、歴史研究で難しいものの一つである生活の実相に迫ることにある。いずれも「川村文書」という貴重な史料を駆使した奉行所役人の生活探求であった。