新春講演会=報告

新春講演会
平成25年1月13日

「新潟の古写真を読む」
新潟市歴史博物館副館長 伊東祐之氏

〈講演要旨〉
『新潟市史』やみなとぴあ(新潟市歴史博物館)の企画展で用いた古写真は貴重な資料であり、また、好評であった。古写真一枚一枚に意味があり多くの情報を伝えてくれる。
 昭和4年栄小学校の弥彦遠足の写真を見ると、児童は着物で下駄履きであるがいずれも新調したもののようで、当時の学校遠足は「晴れの日」の一大行事であったことがわかる。また、明治41年の大火の前の写真と後の写真とを比べてみると、家並みの状況など、街の変化を具に知ることができる。
 明治期の新潟には、高木・金井・和田・朝倉等々多くの写真家・写真館が存在し、今も八木朋直旧蔵写真、谷安平(笹川勇吉)旧蔵写真など多数の古写真が残されている。写真はいつ、どこで、だれが、何を意図して撮ったものか推理する必要がある。そして様々な視点から推理することによって新に見えてくるものがある。
 今日はすでによく知られている写真を見ながら、写されている物や事柄、景観などを語ってみたい。(以下、次のような古写真を見ながら詳細な説明があった)
 新潟県庁・県庁前の西堀・西堀鍛冶小路付近・道路整備中の古町通新川付近・道路整備の済んだ本町通坂内小路付近・古町通新津屋小路付近・新潟病院・白山神社付近・参道・ひょうたん池・公園入口・宮浦堀・他門川相生橋付近・他門川新津屋小路堀口付近等々
 身近な写真を読むことも大切なことである。例えば私の家にあるアルバムの写真から、昭和35年前後の子供達の様子や新潟地震の時の情景を知ることができる。そして資料は写真だけではない。何を食べ、何をいくらで買ったのか等々、その日その日の日記や家計簿、チラシ、あるいは思い出や聞き取りなど、自分のまわりにある歴史を一人一人が書き留めていくことが重要である。
 「内野の今昔」や「郷土赤塚」には写真解説の詳述があり魅力的な内容になっている。坂井輪や関屋などの公民館活動でも地元の写真を取り入れた充実した本を出版している。新潟郷土史研究会の「郷土新潟」も専門研究者だけではなく、在野の研究や調査を楽しんでいる人々の発表の場としてあった。
 自分の歴史を語ること、自分の語りを人々の前に出していくことが大切である。みなとぴあはそのような活動を支援し、そうした活動を基盤にこれからも事業を展開していきたいと考えている。


講演会終了後、恒例の新年祝賀会が行われました。当会名誉会長の新潟市長篠田昭氏からご多忙の中ご出席いただき、激励のご挨拶をいただきました。